渡辺哲也《CLIMAX‥‥No.1》1973年

 
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渡辺哲也《CLIMAX‥‥No.1》1973年 オープンリールテープレコーダー、オープンリールテープ、カセットテープレコーダー、エンドレスカセットテープ、マイクロフォン、スピーカー、アンプ、ミキサー ©渡辺哲也 撮影者不明

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渡辺哲也《CLIMAX‥‥No.1》1973/2018年 オープンリールテープレコーダー、オープンリールテープ、カセットテープレコーダー、エンドレスカセットテープ、マイクロフォン、スピーカー、アンプ、ミキサー ©渡辺哲也 撮影|藤島亮

 

ひとつの机にオープンリールレコーダー2台とミキサー、もうひとつの机にマイクロフォンを置き、6人のパフォーマーが順に声を録音していく。1人目は「ナ・ミ・ウ・ツ」という言葉を3秒に1文字ずつ、25分間くり返し発声する。会場には波音のエンドレステープを流す。パフォーマンスが終わったらテープを巻き戻して再生する。2人目のパフォーマーは、ヘッドフォンから再生される1人目の声を聞きながら、1人目が「ナ」と言うとき、1文字ずらして「ミ」、「ミ」と言うとき「ウ」と発音していく。これを1人目の声に重なるように録音する。2人目のパフォーマンス終了後に再生される録音からは、重なりあう2人の声と、重なりあう波音が聞こえる。3人目は1人目が「ナ」と言うとき「ウ」と発音する。6人目の録音を再生し終えるまで6時間かかる。

渡辺哲也による《CLIMAX‥‥NO.1》(1973)の記録は、上演中の写真とキャプション、会場に貼られたタイムテーブルと録音原稿、1本のオープンリールテープだけである。このテープには各パフォーマンスの一部をつなげた音が収録されている。聞こえるのは、重なりあう声と波音だけではない。会場の騒音と、テープレコーダーに由来するであろうリズミカルな音も聞こえる。後者は次第に音量を増し、6人目のパフォーマンスでは声と変わらないほど大きくなり、ときに声をかき消す。冒頭の説明はこれらの記録と関係者へのインタビューにもとづく。パフォーマンスの手順や機材はおおよそ推測できる。しかし、2台のレコーダーとミキサーがどう接続されたのか、録音中にパフォーマーと観客がどの音を聞いたのかは可能性がいくつかあり、確定できない。

 
 
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《CLIMAX‥‥No.1》テックライダー 作成|岡千穂

 
 
 
 
日本美術サウンドアーカイヴ──渡辺哲也《CLIMAX‥‥No.1》1973年

2018年3月25日 SCOOL

上演作品
渡辺哲也《CLIMAX‥‥No.1》1973/2018年 出演|網守将平/大和田俊/郭一恵/関真奈美/玉木晶子/馬場省吾

上映作品
渡辺哲也《EMULSION SEA》1972年 《WALL SEA》1972-3年 《コーヒーを飲む》1975年

テキスト|渡辺哲也/金子智太郎
トーク|畠中実/金子智太郎
テクニカルアシスタント|梅沢英樹/岡千穂/上村洋一
機材上映協力|太田曜
写真撮影|藤島亮
映像撮影|樋口勇輝
リーフレットデザイン|川村格夫

 
 
 
 
渡辺哲也(1947-2007)略歴

1947 岐阜県に生まれる
1971 東京造形大学絵画専攻卒業

主な個展
1965 おぎくぼ画廊/東京
1966 おぎくぼ画廊/東京
1968 ルナミ画廊/東京
1973「CLIMAX No.1」ときわ画廊/東京
「CLIMAX No.2」ときわ画廊/東京
1974「CLIMAX No.3」田村画廊/東京
「アンダーグラウンドシネマテーク No.59」天井桟敷館/東京
1975「コーヒーを飲む」サトウ画廊/東京
1976「be-account」不忍画廊/東京
1977「be-account Ⅱ」真木画廊/東京
1978「be-scoup Ⅲ」サトウ画廊/東京

主なグループ展(1970年代)
1967「無感動アート展」村松画廊/東京
1970「6.15~23 学内連日ハプニング ─ACT機関」東京造形大学/東京
「肉体、あるいは肉体的なものについて ─ACT機関」東京造形大学/東京
1971「EXHIBITION SUMMER IN TAKAO」東京造形大学/東京
1973「京都アンデパンダン展」京都市美術館/京都
「〈実務〉と〈実施〉・12人展」ピナール画廊/東京
「五人組+4〈REVOLUTION写真展〉」ときわ画廊/東京
「京都ビエンナーレ」京都市美術館/京都
「フィルムメディア・イン・タムラ ’73 ─フィルムによる」田村画廊/東京
1974「展・それぞれ」田村画廊/東京
「映像表現 ’74」アートコアホール/京都
1975「フィルムメディア・イン・タムラ ’75 ─ビデオによる」田村画廊/東京
「第3回 アンダーグラウンドシネマ新作展」安田生命ホール/東京
「MAKI SPACE No.l (by Film)」真木画廊/東京
「第9回 パリ青年ビエンナーレ」パリ市立美術館/パリ
「AFFAIR & PRACTICE・WHY IT」現代文化センター/東京
1976「京都ビエンナーレ」京都市美術館/京都
1977「MAKI SPACE No.ll ─VIDEO IN TOKYO」真木画廊/東京
「チョバム・アーマー展」サトウ画廊/東京
1978「それぞれ」村松画廊/東京
1979「80年代映画への胎動――70年代ノン・シアター・シネマの回顧」スタジオ200/東京

 
 

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