新着情報 20210423

日本美術サウンドアーカイヴ協力──河口龍夫《345600秒》2021年

 

日本美術サウンドアーカイヴは河口龍夫の新作インスタレーション《345600秒》の制作に協力しました。この作品は河口が1971年に京都のギャラリー16で発表した《172800秒》が元になっています。新作はSNOW Contemporaryで2021年4月23日から開催される展覧会「1971年の172800秒から2021年の345600秒へ」で展示されます。展覧会カタログの制作にも協力しました。
 
「172800秒展」の会場の壁には8ミリカメラしか取りつけられておらず、床にはオープンリールテープレコーダーが置かれていました。会期中ずっと、カメラはセルフタイマーで8秒に1コマずつシャッターを切り、テープレコーダーは周囲の音を収録しました。展覧会終了後、河口はそのフィルムとテープを一度も再生することなく、鉛の板で覆って封印しました。当時の鑑賞者を戸惑わせたであろうこの作品は、「関係」をめぐる彼の探求における初期の成果のひとつであり、鉛による封印という彼の方法のきっかけのひとつと考えられます。
 
「172800秒」は1日8時間、6日間の展覧会の長さを意味します。そして「1971年の172800秒から2021年の345600秒へ」は1日6時間、16日間の展覧会です。展覧会カタログに掲載した論考では、二つの展覧会のあいだの隔たりとつながりを思考するための手がかりを提案しました。慶應義塾大学アート・センターで2021年4月19日から6月18日まで開催される展覧会「Artist Vice I: 河口龍夫 無呼吸」(展覧会詳細)に関連する公開座談会「河口龍夫 時のブーメラン」(オンライン、5月8日)[緊急事態宣言発令のため中止となりました]にも出演します。

 
 
172800
河口龍夫《172800秒》1971年 オープンリールテープレコーダー、8ミリカメラ ©河口龍夫 撮影者不明
 
 
 
 
日本美術サウンドアーカイヴ協力──河口龍夫《345600秒》2021年

河口龍夫「1971年の172800秒から2021年の345600秒へ」SNOW Contemporary、2021年4月23日〜5月22日 展覧会詳細

 

 

公開座談会「河口龍夫 時のブーメラン」[緊急事態宣言発令のため中止となりました] イベント詳細
2021年5月8日(土)14:30-16:30
オンライン(Zoom ウェビナー)
参加費無料
主催|慶應義塾大学アート・センター
出演|河口龍夫/渡部葉子/金子智太郎
 
 
 
河口龍夫 略歴

1940 兵庫県神戸市に生まれる
1962 多摩美術大学絵画科卒業
1965 グループ「位」結成
1983 筑波大学芸術学系助教授(1991年 同教授)

主な個展
1981「河口龍夫展」アートフロントギャラリー/東京
1990「今日の作家たちIII 河口龍夫」神奈川県立近代美術館/神奈川
1997「関係―河口龍夫」千葉市美術館/千葉
1998「河口龍夫―封印された時間」水戸芸術館現代美術センター/茨城
1999「河口龍夫 関係−京都」京都市美術館/京都
2003「河口龍夫 大地と水と植物」ヒルサイドフォーラム/東京
「日本現代美術 河口龍夫」釜山市立美術館/釜山
2004「河口龍夫 関係―時のフロッタージュ」名古屋市美術館/愛知
2005「時間の時間 河口龍夫展」国際芸術センター青森/青森
2007「河口龍夫 見えないものと見えるもの」兵庫県立美術館/兵庫、名古屋市美術館/愛知
2008「無限への立ち位置―河口龍夫の1970年代」宇都宮美術館/栃木
「DARK BOX 2008―時間をもった闇」名古屋市美術館/愛知
2009「河口龍夫展 言葉・時間・生命」東京国立近代美術館/東京、名古屋市美術館/愛知
2012「光あれ!河口龍夫―3.11以後の世界から」いわき市立美術館/福島
2015「河口龍夫 垂直の時間、あるいは階段時間」SNOW Contemporary/東京
「河口龍夫 闇の時間」カスヤの森現代美術館/神奈川
2017「河口龍夫―眼差しの彼方」金津創作の森/福井
2018「河口龍夫―ちのこうや」黒部市美術館/富山
2019「河口龍夫 時の羅針盤」越後妻有清津倉庫美術館/新潟

主なグループ展
1970「第10回 日本国際美術展 人間と物質」東京都美術館/東京、京都市美術館/京都
1973「第8回 パリ青年ビエンナーレ」パリ国立近代美術館/パリ
1986「前衛芸術の日本」ポンピドーセンター/パリ
1989「大地の魔術師たち」ポンピドゥー・センター/パリ
1994「1945年以降の日本の美術」グッゲンハイム美術館他/ニューヨーク
2000「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」新潟(’03, ‘12)
2004「痕跡―戦後美術における身体と思考」京都国立近代美術館/京都
「グループ〈位〉展」兵庫県立美術館/兵庫
2010「瀬戸内国際芸術祭」香川
2013「二年後。自然と芸術、そしてレクイエム」茨城県近代美術館/茨城
2015「展、再演」東京国立近代美術館/東京
2017「奥能登国際芸術祭」石川